練習試合の後は、幾つか簡単に指摘事項だけ述べて、後は自身のプレイを各自に振り返らす。
俺自身が、陰の司令塔になるのは簡単な事だけれど、それでは意味がない。
だから、自分で考えさせる。
こうして、試合経験を地道に積んでいく事で、培われていく本当の実力。
俺に出来る事は、ほんの少し皆の背を押す事だけ。

反省点を踏まえて、翌日の練習はミーティングから始まる。 「今日からの練習メニュー、自分で何をやるべきか、考えてきたか?」
俺の宿題に対し、レギュラー陣は、自分なりの答えを出してきた。
「ファール、出さない様にします!!!」
偶々眼が合った為、真っ先に答えたシンに苦笑が漏れる。
「…確かに、一試合で四つは多過ぎるな。だが、出さない様にする為には、どうすれば良い?」
「…直ぐに、キレない様にする…とか?」
「…まあ、確かに性格の問題も有るだろうが、お前の場合、プレイのひとつひとつが雑なんだ。雑だから、凡ミスが多くなって、つい手が出る…当分、地道な基礎練だな」
基礎練という言葉に、嫌そうな顔をしたシンから、隣のレイに視線を移した。
「周囲が見えていないので、もっと視野を広く持てる様にしたいです」
司令塔となるべき人間らしい、発言だ。
「…そうだな。誰を使うべきか、瞬時に判断出来る様に、常に視野を広く持つ事が、ポイントガードには要求される。だが、相手の攻撃にも幾つかのパターンがあるから、それさえ解っていれば、ある程度、負担は軽減される筈だ。パターンプレイの練習をしてみようか?」
「はい」
「ニコル」
「はい、僕はレイの逆ですね?」
「…そう、君のプレイは型に嵌り過ぎている。パターン通りにしか攻めないから、相手にも動きを読まれてしまう…それと、もう少し体力を付けて欲しい…第四クォーターまでフル出場しても、バテない位に」
「はい」
「ディアッカ、君は?」
「技、覚えようと思います…ジャンプ力だけじゃ、ゴール下、競り勝てませんから」
「そうだな、君は体力的にも問題ないし、技巧を磨くべきだな」
視線を流した先には、輝くプラチナ。
「最後にキャプテン、君の課題は?」
「…アシストプレイに、暫く徹そうと思います」
「…イザークがアシスト!?」
チーム内唯一のポイントゲッターであるイザークの発言に、俺を除く全員が驚愕の色を見せた。