近隣の高校に、練習試合を申し込んだ。
トーナメントで逆ブロックだった事が多かった為、対戦経験はないが、何度かインハイへの切符は手にしている、それなりの強豪校。
受けて貰えるかは疑問だったけれど、先方も此方に興味があるらしい。
確かにイザーク一人だけ取ってみれば、全国トップクラスだ。
彼のプレイを直接見られるだけでも、練習試合を受ける価値があるという事なのだろう。
男バス全員を集合させ、練習試合の事を告げた。
相手校の詳細を伝え、遠征になる為、日時や当日の集合場所を、シホに細かく説明させる。
「ユニフォームを預けておくから、当日、忘れない様に」
シホが、ユニフォームの入った箱から、一組を取り出す。
受け取って、イザークに差し出した。
「…キャプテン、任せたぞ」
このチームで、他に四番を背負える人間は、居ない。
「はい」
これが、俺達の第一歩。
一瞬、過去へと想いを馳せたものの、気持ちを切り替えて続けた。
「ディアッカ、センターは君しか出来ない、頼む」
妥当な五番。
「了解しました」
堅苦しい言葉だけれど、声音はどこまでも軽い。
さて問題は、此処からだ。
「ポイントガードは、君だ」
差し出されたレギュラーナンバーのユニフォームに、レイは意外だという表情だ。
「…俺が、ですか?」
六番。
今の段階では、未だ力不足の感が有るレイだけれど、その実力は本物だった。
ざわめきが広がったものの、全員、それなりに納得はした様だ。
「基本はセカンドガードという事になるが、レイとツインガードとして、ゲームメイクを頼む」
ニコルに渡したユニフォームは、八番。
元々、このチーム内では、ナンバースリーの実力の持ち主。
当然、異論は出ない。
箱から取り出した、七番。
黙って差し出すと、今度こそ、驚愕で絶叫の嵐。
差し出された本人より、周りの方が煩い。
「…シンがレギュラー!?」