午後は、全く授業に集中出来なかった。
気付けば、バスケの事ばかりを考えている。
そして、あのアイスブルー。
制服姿しか見た事がなかったから解らなかったけれど、綺麗な体躯をしていた。
細身だけれど、無駄なく付けられた筋肉。
バスケをやっている人間としては、長身の部類ではないが、180は有るだろう。
それに、腕が長い。
あの腕で、どんなシュートを放つのだろうか。
考えてみれば、俺は彼のポジションすら知らなかった。
放課後、何となく体育館を訪れてしまった。
あれ程避けていたのに、恐怖より好奇心が勝ってしまったのだ。
彼のプレイが見てみたい…と。
体育館には、ギャラリーがやけに多かった。
目立たぬ様に、そっと紛れ込む。
ギャラリーの殆どは、女生徒で、お目当ては男子バスケ部らしい。
二組に分かれて、3対3をやっていた。
シュートが決まる度に、歓声が上がる。
中でも一際、熱い歓声を受けているのは、彼だった。
無理もない。
あのルックスで、抜群の運動神経だ。
基本に忠実なレイアップシュートが多いが、時折、派手にダンクを決めてみせたりもする。
そうなると、豪い騒ぎだ。
彼自身は、観客の声など、全く聞いてはいないようだったが。
シュートフォームは綺麗だ。
あまり高くはない身長を、カバーして余りあるジャンプ力。
元々才能があったのだろうが、それにしても、随分と練習を重ねてきたのだろう。
彼だけならば、充分に全国制覇が出来るプレイヤーだ。
だが、やはり進学校のクラブ。
他のメンバーが、彼の才能についていけていない。
バスケは、5人でやるものだ。
彼一人のワンマンチームでは、到底全国へは届かない。
マネージャーらしい女生徒が笛を吹いて、メンバーが入れ替えられた。
コートから出た彼が、真っ直ぐ此方へ向かってくる。
練習中、そんな素振りは全く見せなかったけれど、俺の存在には気付いていたらしい。
立ち去るべきだと思ったが、絡み付く様な視線に、足が動かなかった。